GOTO AKI (Markins Ball Head)


テーマ
自然風景・静寂・造形
撮影者
写真家 GOTO AKI
撮影日付
2018年3-5月
撮影場所
三浦・富士山周辺・八ヶ岳周辺
撮影機材
マーキンス
Q10i-BK 自由雲台
PC542 + LC-542 L-プレート セット
PC-14 レンズプレート
VR15J-LS VR-ホルダー / York-15L
キヤノン
EOS 5D Mark Ⅳ
EF16-35mm F4L IS USM
EF24-70mm F4L IS USM
EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
ベルボン
E-643M-II
レビュー
写真家 AKI GOTO
GOTO AKI

1972年川崎生まれ。
1993年の世界一周の旅から現在まで56カ国を巡る。現在は日本各地の風景をモチーフに地球的な時間の流れをテーマにした作品制作に取り組んでいる。

日本自然科学写真協会(SSP)会員
キヤノンEOS学園東京校講師
武蔵野美術大学造形学部映像学科 非常勤講師
- 写真集 -
2012年
「LAND ESCAPES」 (travaglio publishing)
2015年
「LAND ESCAPES - FACE-」 (travaglio publishing)
- 主な写真展 -
1999年
「journey on life」 ニコンサロン
2000年
「Mirror Site」 ニコンサロン
2002年
「ambient」 ホカリファインアート
2010年
「LAND ESCAPES」 キヤノンギャラリー
2013年
「LAND ESCAPES 2 - Japan -」 キヤノンギャラリー
2015年
「LAND X FACE」 キヤノンギャラリー
2016年
「LAND ESCAPES - listen -」 うしお画廊
2016年
「Earthscape」 ギャラリーイワオ
2019年
「terra」 キヤノンギャラリーS
- 受賞 -
2006年
第7回新風舎平間至写真賞ハミングバード賞
2015年
第66回全国カレンダー展 日本商工会議所会頭賞(キヤノンカレンダー)

ウェブサイト: http://www.gotoaki.com
きっかけは写真家仲間の一言
学生時代から使い続けてきたのは3ウェイの雲台付きの三脚。構図を決めてブレを防止するという実用上の不満は特になく、長年、体の一部のように使い続けてきた。一方、一般的な自由雲台の印象といえば、望遠などの重量があるレンズではノブを締めた後でも少し動いて構図がずれる印象があり、積極的に使う理由が見当たらなかった。

2017年の夏ぐらいだろうか。Facebookのタイムラインに友人のプロ写真家さんが書いたマーキンス自由雲台を賞賛する記事が流れ始めた。今までの使い慣れた機材で十分かなという思いがあったものの、<気になるな>と心の中で自由雲台に期待しはじめている自分がいた。

その記事を書いたプロ写真家さんは、マーキンスのサイトにレビューを書かれている風景写真家・中西敏貴さんと鉄道写真家・長根広和さん。お二人とは個人的にお付き合いさせていただいていることもあり、友人だからこそ聞けるちょっと意地悪な質問をメッセージで送った。

「本当にマーキンスっていい?」

すると数分後には普段は冗談を書き合うお二人から、真面目なメッセージが立て続けに届いた。誰も目にすることのないスレッドへの本気のメッセージ、そこには「マーキンス本当にいいよ!」という理由が饒舌じょうぜつに書かれていた。<これは本当だ。使ってみよう。>僕の腹が決まったのは、お二人への信頼感からだった。
風景写真と三脚
ほどなくして家に届いたのが、中判用の自由雲台Q10i-BKに愛用カメラCANON 5D MARK IVの専用プレートセット(PC-542 + LC-542)と常用の望遠ズームレンズ EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの三脚座につけるPC-14レンズプレートだ。ケーブルレリーズの着脱位置がカメラの前面についた5D MARK IVにも対応した形状で、装着した瞬間に精度が高そうな信頼感を手から感じた。

僕の風景写真は、学生時代に世界一周したこともあり、日本の風景を外の世界からみたような、ある種の俯瞰ふかんの視線で捉えるようなところがある。目の前で輝く風景は、膨大な地球の時間が流れて生まれた光景であるし、その時間への敬意を僕は心から持っている。そして撮影するときに最も意識することがその時間の流れだ。もちろん、撮影の時には光や造形など注目する点はたくさんあるのだが、その中でも優先順位が高いのが時間である。同じ風景でも1/125秒で撮影するのと60秒で撮影するのでは表現が大きく異なることは容易にお分りいただけると思う。スローシャッターで時を描くとき、カメラとレンズと同様に三脚と雲台が表現の上でとても重要な役割を担っている。
マーキンスを使ってみて
いつも新しい機材を手にするとテストに行くのが三浦の城ヶ島。狙いたい被写体を定め、クイックシューにカメラを設置、パンニングして、メインノブを締めた。すると、すっ、ピタっという感じでボールヘッドが静かにとまった。確実に3ウェイより操作が早く、心の声は(わっ、気持ちいい!)写真を撮る時に被写体にパッとピントが合い、すぐにシャッターを切るような、心地の良い直感的な流れがそこにはあった。ただ一つ、慣れないと危ないなと思ったのが、クイックシューのノブの操作。メインノブを緩めているつもりが、間違ってクイックシューのノブを緩めてしまいカメラを落としそうになったことが数回あった。操作に慣れた今では問題ないが、それまでは注意が必要かもしれない。

そして、今回、自由雲台と一緒に手に入れたのが5D MARK IV用の専用プレートセット。最初は、カメラに付けっ放しにするのは、ホールド感が損なわれるかなという懸念があったが、これも使っているうちに全く気にならなくなった。むしろカメラのボディを守ってくれる面もあるので、そのままにしている。専用プレートセットのメリットは、同じ撮影シーンで横位置から縦位置へ変更しても光軸が変わらないことと水平垂直が保たれること。水平やアングルを修正する手間がかからず、撮影のスピードがアップ。刻一刻と変化する自然風景の変化に素早く対応して撮りたいシーンを逃しにくくなる。このスピード感と縦位置の撮影でブレにくいという安心感は僕にとっては大きなアドバンテージだ。プレートの裏には三脚ネジの穴があるので、複数の三脚を使用していたり、場合によっては今まで使ってきた3ウェイ雲台とクイックシューを併用する場合にもプレートはそのままで大丈夫という点もお伝えしたい。
L-プレート
マーキンスを気に入った僕は、VR-ホルダー VR15J-LSを追加購入。レンズはEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMをよく使うため、ブレやすい400mmの焦点距離で今まで以上のピントの精度と安定感を期待した。

新緑が溢れる林の中で、VR-ホルダーのクイックシューをT型六角棒スパナで外して角度を90度変更 (※図1)。 長いレールで長玉を二点で支えたその安定感は抜群で、カメラの液晶モニターで撮影画像を最大に拡大しても、被写体のディテールと微細な線がくっきりと描写されていた。今まで気にしていた微風や微振動によるブレも気にせず、撮影に集中できるのは何ともありがたい。
markins VR-Holder
markins VR-Holder
撮影した作品は個展や写真集で発表することを想定しているので、大きなプリントでは小さなブレも致命的になる。だからこそ、ブレないこととピントの精度が高いことは作品制作の安心感へと繋がってくる。マーキンスの自由雲台は、道具としてのよさはもちろんだが、僕にとっては表現の質と精度を高めてくれるという点で、すでに創作のパートナー。これからも「もっといい作品が撮れる!」という期待感を持って使っていきたい。
markins head report
■ shape
キヤノン EOS 5D Mark Ⅳ / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
F11 1/100秒 ISO400
写真家 GOTO AKI 作例1
■ time exposure
キヤノン EOS 5D Mark Ⅳ / EF24-70mm F4L IS USM
F16 58秒 ISO50
写真家 GOTO AKI 作例2
■ cloud line
キヤノン EOS 5D Mark Ⅳ / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
F5.6 1/25秒 -0.7補正 ISO1600
写真家 GOTO AKI 作例3
■ time and reflection
キヤノン EOS 5D Mark Ⅳ / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
F22 30秒 -0.7補正 ISO50
写真家 GOTO AKI 作例4



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