夏の信州で野鳥撮影

2022年 夏
野鳥写真家 中野耕志
野鳥写真家 中野耕志
キビタキ
Nikon Z 9 / NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S / F6.3 1/1000秒 ISO-560
野鳥を撮影するためのお気に入りの場所はいくつもあれど、毎年数回は通っている場所といえば信州である。里山から高山帯まで多種多様な環境がある信州は、山の鳥を撮影するのに絶好の場所なのである。とくに5月から6月にかけての新緑の頃は必ずといっていいほど訪れており、渡ってきたばかりの夏鳥たちとの出会いを楽しみにしている。
野鳥写真家 中野耕志
オオルリ
Nikon Z 9 / NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S / F6.3 1/125秒 ISO-1100
これまでは野鳥撮影用カメラとしておもに一眼レフを使用してきたが、今シーズンはニコンZ 9とNIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sを導入したことにより完全にミラーレス体制へと移行した。野鳥撮影において一眼レフからミラーレスへ変わったことのメリットはいくつもあるが、もっとも大きなメリットはミラーやシャッター幕などの機械的な作動ショックによるカメラブレが無くなったことである。これにより重量級のカメラとレンズを支える三脚と雲台を従来よりも軽量化できるので、とくに山道を歩きながらの野鳥撮影が楽になった。
野鳥写真家 中野耕志
そんな撮影スタイルでのお気に入りの脚周りは、ジッツオ GT2542 三脚とマーキンス BV24SET ( Q20iQ-BKBV-24 セット ) の組み合わせである。大型三脚に比べると軽量ながら、Z 9と800mmを載せてもビクともしない頑丈さだ。また三脚ハブはマーキンス TH-230 に換装しているので、純正よりもさらなる軽量化と剛性アップに繋がっている。
野鳥写真家 中野耕志
歩いて野鳥を探しながらの撮影では、野鳥を発見してから撮影機材をセットするのではシャッターチャンスを逃す可能性が高い。そのためカメラとレンズを三脚に載せた状態で肩に担いで歩きながら鳥を探すのだが、雲台の固定力が弱いと重量級のレンズがおじぎして首の皮を挟んでしまうことがある。その点マーキンス BV24SET は固定力が強く、不用意に緩んでしまう心配はない。
野鳥写真家 中野耕志
撮影時は右手はカメラを保持し、左手の人差し指をボール固定ノブ(メインノブ)に、親指をパンニング固定ノブにかけておき、素早く2つの固定ノブを操作できるようにしている。
野鳥写真家 中野耕志
ライチョウ
Nikon Z 9 / NIKKOR Z 100-400mm F4.5-5.6 VR S / F8 1/1500秒 ISO-200
低山の新緑シーズンが一段落するころ、高山帯の雪解けが進むとライチョウの動きが活発になる。オスは岩の上で周囲を見張り、別のオスを見つけると飛び立って縄張り争いをする。
野鳥写真家 中野耕志
ホシガラス
Nikon Z 9 / AF-S NIKKOR 500mm F4E FL ED VR / F4 1/4000秒 ISO-12500
夏の終わり、ハイマツの実がなるとホシガラスが松ぼっくりをむしり取っては、中の種子を取り出して貯蔵場へとせっせと運んでいく。高山帯の撮影では、急な天候悪化に備えて雨具や非常食などを持ち歩かねばならない。そのため撮影機材は最低限にしておきたいので、軽さと頑丈さを兼ね備えた三脚・雲台システムをチョイスしたいものである。
カメラ機材が進化して手ブレ補正機構がいくら良くなったとしても、三脚と雲台の必要性は変わらない。むしろカメラの手ブレ補正能力外の固定力を求められるので、三脚と雲台は今まで以上に信頼できるものを選ぶべきだろう。
野鳥写真家 中野耕志
中野耕志

野鳥や飛行機の撮影を得意とし、雑誌や広告を中心に作品を発表。「Birdscape~絶景の野鳥」、「Jetscape~絶景の飛行機」を2大テーマに国内外を飛び回る。近著に「野鳥写真の教科書」(玄光社)、「パフィン!」(河出書房新社)などがある。
ウェブサイト: www.strix-photography.com

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