初冬の道東で出会ったいのちの景色

2019年12月25日
自然写真家 小林義明
12月の後半となれば釧路エリアの朝はマイナス20℃となることも珍しくもなく、本格的な冬の到来となる。しかし、2019年の12月は記録的な雪不足で、年末になってもあちこちで地面が見えたまま。そんな状況のなかで、少しでも冬らしい景色をみつけようとウロウロしながらの撮影が始まった。

12月25日。朝6時の気温はマイナス18℃。風もなく絶好の撮影日和。向かうのは鶴居村音羽橋。雪がなくても川沿いには霧氷がビッシリとついて冬らしい景色を見せてくれるはずだ。ここはタンチョウの塒としても有名な場所で、世界中から多くのカメラマンが訪れる。

今朝の機材はPENTAX 645Z。これに600mmの超望遠レンズを組み合わせる。レンズ4800g、ボディ1550gと合わせて6kgを越える重量級の機材だ。これを支えるのがマーキンスQ20i-BKBV-HEAD。耐荷重が50kgあり、余裕を持ってこの機材を支えてくれる。むしろ、重量がある方が動作もシットリして扱いやすく感じる。相性のいい組み合わせだ。そして、レベラーつきの三脚を使うことで操作性はさらに向上する。
マーキンス BV-HEAD
7時が過ぎ、朝日が差し込み始めるとまだ寒いにもかかわらず、いち早く飛び立っていくタンチョウの姿があった。ゆっくり飛んでいるように見えるタンチョウも、ファインダーで捉えるととても速く感じる。しかし、BV-HEADのスムーズな動きでタンチョウの姿を追うことができた。朝日に赤く照らされた霧氷を背景に羽ばたくタンチョウも赤く染まり、冬の朝を象徴する一枚となった。
マーキンス BV-HEAD
PENTAX 645Z FA★645 600mmF5.6ED 1/200秒 F11 ISO1600
8時となり日が少し高く昇ると川岸のあたり一面についた霜がキラキラと輝き、幻想的な景色が広がる。気温が上がるにしたがってタンチョウも動きだし、煌めく川面から飛び立っていく。このような重量級の機材だと自由雲台では水平を保ちながら構図を整えるのが難しいことも多い。しかしBV-HEADを使っていることで、画面を傾けることなく構図を整えられる。風景的な撮影でもBV-HEADとの組み合わせは有効だと感じることも多い。
マーキンス BV-HEAD
PENTAX 645Z FA★645 600mmF5.6ED 1/1000秒 F14 ISO400
続いて近くにある給餌場の鶴見台へ。雪が少なく地面が写ると中途半端な季節感になってしまう。そこで飛んでくるタンチョウの姿を青空バックで撮影することにする。機材は動体撮影に適した Canon EOS 7D MarkIIとSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM に変更。このレンズの三脚座はアルカスイス互換の溝が切ってあるのでプレートなしでBV-HEADに装着が可能。ノブタイプだとプレートの幅が多少違っても固定できるので便利だ。
マーキンス BV-HEAD
タンチョウの親子が青空を舞う。先頭を飛ぶのが父親で、幼鳥の脇に寄り添うように並んでいるのは母親だろうか。羽根の動きや重なり方に気をつけながらレリーズしていく。BV-HEADにパンバーBP-10を組み合わせているので、スムーズに横方向へ飛ぶ動きを追うことができ、タンチョウの動きを考える余裕が生まれた。
マーキンス BV-HEAD
Canon EOS7D MarkII SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM 1/1250秒 F8 ISO400

夕方にはステージを変更し、屈斜路で夕陽をからめながらハクチョウを撮影。再びPENTAX 645Z の登場となるが、ここでは超望遠は使わないので、ボディーに装着したカメラプレートでBV-HEADに固定する。645Zにつけたカメラプレート P67Uは、取り付け部分の溝が縦横に切ってある両方向タイプで、一般的なL-プレートが横溝の単一方向ゆえに縦溝のBV-HEADではカメラが横を向いてしまうという問題がない。ボディをBV-HEADに取り付けられるのでレンズを選ばず、水平が狂うと違和感が出る風景的な撮影も画面の傾きを気にせず素早く構図を設定できるメリットがあり重宝している。

マーキンス BV-HEAD
日没後の赤みが残る光のなか、湖面をゆっくりと泳ぐハクチョウの動きを表現してみたいと思い、1/4秒で流し撮りをした。パンするときには、パンバーを持つ腕を体につけたまま動体ごとゆっくり移動すると安定して動きを追うことができる。微妙なブレと柔らかな描写がハクチョウの優雅な動きを感じられるカットになったと思う。
マーキンス BV-HEAD
PENTAX 645Z FA645 150-300mmF5.6ED[IF] 1/4秒 F16 ISO100
自然写真家 小林義明
小林義明

1969年東京生まれ。東京写真専門学校(現・ビジュアルアーツ東京)卒業後フリー。小さな自然から広大な景色、野生動物など幅広く自然を撮影。2006年末より北海道へ移住し、「いのちの景色」をテーマに作品を撮影中。
- 写真展 -
2017年 「光の色・風の色2」 (リコーイメージングスクエア新宿・大阪)
2012年 「いのちの景色 北の大地から」 (四谷・ポートレートギャラリー)
2012年 「いのちの景色 タンチョウ物語」 (フォトギャラリーUC)
- 写真集 -
「いのちの景色 釧路湿原」(風景写真出版)
「Small Life -わが庭の仲間たち-」(日本写真企画)

ウェブサイト) https://www.nature-photo.jp/  https://love-nature.me/

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