相鉄カレンダー撮影

2021年09月 神奈川県
鉄道写真家 米屋こうじ
ネイビーブルーの出で立ちも颯爽と、個性的な車両デザインが注目を集める相模鉄道は、横浜駅を起点に神奈川県の中央部に路線を延ばす鉄道会社だ。「相鉄」の愛称で呼ばれ、2019年11月にはJR埼京線との相互直通運転を開始、2022年度下期には東急線との相互直通運転が予定されている。

そんな話題の多い相鉄さんが、制作・発売するのが「相鉄カレンダー」。2021年版に続き、2022年版の撮影を一部担当した。
鉄道写真家 米屋こうじ
1回目のロケは7月某日に実施。「午前4時30分から相模大塚駅構内で撮影します」とのこと。相模大塚駅構内には、夜間に電車が休息する留置線があるが、早朝になると、そこから運用に就く電車が出発する。そんな1日の始まりをイメージするシーンを撮影する。

撮影当日は小雨の降る残念な天気。辺りがまだ暗いため三脚が必要だ。多くの車両が並ぶ全景を広角レンズで撮影したり、雨粒が付着した車両の表情を望遠レンズで切り取ったりと、複数のカットを撮影。ボディー側、レンズ側と、それぞれにプレートをセットしておけば、雲台への着脱がワンタッチで快適だ。

撮影をしながらも、安全運行の為に、乗務員が手際よく出発準備をする姿に敬意を覚えずには居られなかった。
鉄道写真家 米屋こうじ
FUJIFILM X-T4 / XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR / F5.6 1/8秒 ISO-400
鉄道写真家 米屋こうじ
FUJIFILM X-T4 / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR / F5.6 1/60秒 ISO-800
鉄道写真家 米屋こうじ
この日のロケは早朝で終わりではない。続いて、特別に保線用のスペースに入らせていただき、列車の走行シーンを狙う。しかし、撮影中に雨が激しさを増してゲリラ豪雨に……。

撮影を中断したくなるようなコンディションだが、あえて続行した。望遠ズームにテレコンを装着し、雨に煙る風景を圧縮して撮影。望遠レンズをガッチリと固定してくれるマーキンス自由雲台は撮影中も安心でき、ドラマチックなシーンを撮ることができた。
鉄道写真家 米屋こうじ
FUJIFILM X-T4 / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR + XF2X TC WR / F8 1/640秒 ISO-1600
鉄道写真家 米屋こうじ
FUJIFILM X-T4 / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR + XF2X TC WR / F11 1/1000秒 ISO-1600
2回目のロケは8月に入ってから突然に連絡を受けた。通称“オイラン車”と呼ばれる、「建築限界測定車」が走るとのこと。走行する列車が、駅の設備、沿線の信号機やトンネルなどの構造物に接触しないか測定するのだという。実は走るのがたいへん珍しく、今回を逃すと、次に走るのは2年後になるのだとか。 「撮影は終電後の25時30分からになります」。早朝に続いて、今度は深夜の撮影で、今回も三脚が欠かせない。

建築限界測定車は、測定用の矢羽根が車両から生えたように伸びる。見た目にも変わっていて、江戸時代の遊女・花魁(おいらん)が髪飾りで装った頭の形状から、その呼び名が付いたという。そんな由来を持つ建築限界測定車が、終電の終わった駅のホームをゆっくりと通過する。撮影位置を変えながら数パターン撮影。自由雲台は素早く構図を決められるうえ、マーキンスならギュッと余計な力で締め付けなくてもシッカリ止まり、撮影はスピーディーに進んだ。
FUJIFILM X-T4 / XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR / F3.6 1/80秒 ISO-1600
FUJIFILM X-T4 / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR / F5.6 1/100秒 ISO-2000
営業列車が走らない深夜や早朝でも、人目に触れない場所で、鉄道の安全は守られている。カレンダーに掲載された写真を見る時、鉄道で働く人たちのことを思い出して貰えたら嬉しいなと思う。
相鉄社員立ち会いのもと、安全を確保のうえで特別な場所から撮影しています。線路内、車両基地、保線用敷地などへの無断立ち入りは厳禁。違反した場合、鉄道営業法により処罰されます。
協力:相模鉄道株式会社
写真提供:齋藤久夫・阿部萌夢
鉄道写真家 米屋こうじ
米屋こうじ
1968年山形県天童市生まれ。広告写真家・安達洋次郎、鉄道写真家・真島満秀に師事の後フリーランスとなる。生活感のある鉄道風景のなかに人と鉄道の結びつきを求めて、日本と世界を旅しながら撮影を続ける。アジアの鉄道旅で出会った人々との触れ合いを綴った、エッセー集『ひとたび てつたび』、写真集『I LOVE TRAIN-アジア・レイル・ライフ』(ころから)など著書多数。
ウェブサイト: www.asiantrains.com
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