冬のアイスランド撮影ツアーにて

2020年2月28日 アイスランド
写真家 南 佐和子
2019年に行った写真展「アイスランド 最果てのドラマ」の来訪者の要望に応える形で企画したアイスランド撮影旅行の様子をお伝えしようと思う。
参加メンバーのほとんどが、「アイスランドに行こう」という、そこそこ気合の入った、つまりベテランの風景写真家、あるいは世界を飛び回る旅行スナッパー達だった。
アイスランドの冬の気候は特に変わりやすくて機動力を要する。そして運が良ければオーロラの出現も期待できるので、3年程愛用しているマーキンスのQ10iQ-BK ノブシュー中判用自由雲台と、今回のツアーのメインカメラであるペンタックス K-1 Mark II用L-プレートセット(PP-K1 + LP-K1)、望遠レンズ HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW 用のPL-90 レンズプレートをそれぞれ準備して出発した。
アルカスイス互換 自由雲台
今回の撮影旅行のハイライトは、なんと言ってもアイスケイブ(氷の洞窟)、ダイヤモンドビーチ、そしてオーロラだったが、自然条件や気候に左右されるので全て撮影できる確率は50%だと予想していた。

私たちはまず、アイスランド南部がやがて暴風に襲われるとの予報が出ていたので、その到来前に南海岸に向かうことにした。
そして、カトラ火山の氷河の縁にできたアイスケイブを撮影。今年は5年に1度と言われるアイスケイブの当たり年だ。氷でできた洞窟上部の造形がおもしろいので、かなり上を向いた状態で横位置、縦位置を撮るために、マーキンスの自由雲台とL-プレートが活躍した。
できるだけ広角で撮るほうがスケール感が出るのだが、まず洞窟内は薄暗く三脚が必要。その上、入り口方向を撮ろうとすると輝度差が大きく、必ずと言ってよいほど白飛びする。そこでカメラ内HDRを設定し、そのスケール感を伝えるために自分で立って、参加者にシャッターを押してもらった。
アイスケイブ
K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR / F16 1/4秒 ISO100
ここで重い広角レンズ、遅いシャッタースピードにもかかわらず、この装備のおかげでブレずに撮ることができた。また、もう一箇所訪れたアイスケイブでは、低い空間を三脚を抱えて時にひざをついて進むシーンもあったが、小型のヘッドは扱いがとても楽でありがたかった。

次に訪れたダイヤモンドビーチは、氷河の氷が海に出て、黒砂の海岸に打ち寄せられる場所だが、この朝は、黒雲のすきまから漏れる不思議な光に満ちあふれていた。少し前にホテルに缶詰めになるほどの荒天だったので、海はどんな波が来るか予想がつかない。時にどこまでも追ってくる波が来るので、三脚を持って退かなくてはならず、繰り返し構図を取り直すという作業の繰り返しだ。このスピードを求められる動きはマーキンスの自由雲台なしではとても出来ないと思った。
ダイヤモンドビーチ
K-1 Mark II / HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WR / F16 0.8秒 ISO200
そして最後のハイライトはオーロラ。たとえ指数(KP)が高くても雲がかかると見えないのがオーロラだ。この日の指数は低かったのだが、雲の合間から小規模ながらオーロラを見ることができた。肉眼でゆらゆら揺れる鮮明なオーロラの様子を見たかったのだが、カメラで撮ってやっとわかるほどだった。しかし、それでも初めてオーロラを撮影した参加者は大喜びで良い思い出になった。
オーロラ
EOS 5D Mark IV / EF16-35mm F2.8L II USM / F3.2 6秒 ISO2000
アイスケイブ、ダイヤモンドビーチ、オーロラの全てを撮影できる確率は50%だと予想して出発したツアーだったが、目標を全てクリアできて私自身がとても驚いている。
強風や吹雪やらの厳しい条件の中、参加者は本当にがんばって撮影されていた。そして厳しい気候の見返りに素晴らしい作品をたくさん持ち帰られたと確信している。
それに加え、時には人懐っこいアイスランドホースを撮影して癒されるひとときがあったことも、とても良かったと思っている。
最後に、今回の撮影ツアーは新型コロナウィルスのヨーロッパ拡大寸前のタイミングだった。私は、アイスランド渡航前、また帰国後は2週間自宅待機を行った。また、現地では参加者の感染防止に最大の注意を払ったのは言うまでもない。
今回、ツアーが実現できたことを心から感謝しているとともに、来年の今頃は、何の心配もなく訪問できればと願っている。
写真家 南佐和子
南 佐和子

慶應義塾大学卒、東京都在住。英語通訳として働きながら、2010年より風景写真を撮り始める。隔月刊「風景写真」誌上コンテストで切磋琢磨する一方、アイスランドの自然の魅力に取り付かれて、2019年2月富士フイルムフォトサロン東京にて個展「アイスランド 最果てのドラマ」を開催。大阪、名古屋と巡回展を行う。同時に「カメラと旅するアイスランド」(風景写真出版社)を出版。 アイスランド撮影ツアー主催。現在は風景写真家として活動中。国内では、北海道東部の自然風景を撮り続けている。
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