ステイホーム撮影レポート

2020年04月24日
写真家 中西敏貴
本来ならば今回のレポートは秋のニュージーランド取材の模様をお届けする予定だった。ところが新型コロナウイルスの影響によって全ての予定がキャンセル。海外どころか東京へ行くことすらできない状態になってしまった。写真を撮ることを職業にしている私にとっては非常に厳しい情勢であることは疑いもない事実なのだが、そうは言っても撮りたいという衝動は抑えきれない。そこで私は自宅撮影を楽しむことにした。
マーキンス自由雲台
マーキンス自由雲台
幸いなことにアトリエは高台に位置しているので、庭からこの雄大な風景を見渡すことができる。朝に夕にと様々な表情を見せてくれる光と雲の流れを追うだけでもいそがしい。普段ならば撮影に出かけてしまうことで見逃していた瞬間に気づくことができ、新しい発見の毎日がとても楽しいのだ。

日の出前に起き、庭にいつものこのセットを設置。刻一刻と変わっていく雲を見ながら撮影を進めていく。当たり前のことだが、敷地内なので誰とも会うことはないから三密にもならない。この場所からの撮影となると、基本的に望遠レンズを選択することが多くなるため、ブレには細心の注意を払う必要がある。ただ、その点に関しては、全幅の信頼を寄せている赤いマーキンスだから心配はいらない。風が強い場合だけ、風上に傘をさして防風するくらいだ。
マーキンス自由雲台
マーキンス自由雲台
高濃度のNDフィルターを使った撮影も頻繁に行っている。積極的に動けない分、じっくりと時間をかけた撮影に取り組めるからだ。これは90秒ほど露光しているが、全くブレは見られなかった。私のマーキンスはまだオーバーホールしたことはないのだが、性能は相変わらずで、止める動かすといった基本動作をスムーズに行えている。工業製品としての精度が極めて高いのだろう。
マーキンス自由雲台
足元に小さな花が咲くようになった。春の妖精と呼ばれている花達はとても小さい。マクロレンズを装着し地面に這いつくばるようにして撮影しないといけないが、そんな時にもマーキンスの自由度の高さは威力を発揮する。構図の微調整を頻繁にしなくてはならないこのような撮影では、3way雲台の勝ち目はないと思えるほどだ。

今回のレポートでは海外作品をお見せする予定だったということもあるので最後に海外の作品を1枚お見せして締めくくろうと思う。
マーキンス自由雲台
これは2月中旬に取材に出かけたパキスタンの星空だ。泥火山にかかる天の川をイメージして現地ガイドと交渉し、なんとか夜間撮影に出かけた時の1枚。星空撮影の時にいつも感じるのが、暗闇でのマーキンスの優位性だ。肉眼ではほぼ何も見えない中でも、アルカスイス互換のクイックシューは装着に手間取ることがない。そしてレンズを上に向けて撮影していても微動だにしないマーキンスの止まり具合は、使った人にはわかる極上の感覚だろう。
この自粛生活がいつまで続くのか先が読めないが、制限が解除された時にはまた海外へ取材に出かけたいと思っている。次のレポートこそは予告通り海外シリーズでお届けしたいと考えている。その時を楽しみにお待ちいただければと思う。
写真家 中西敏貴
中西敏貴

1971年大阪生まれ。在学中から北海道へと通い続け、2012年に撮影拠点である美瑛町へ移住。そこに住まう者としての視点を重視し、農の風景をモチーフに作品制作を続けてきた。近年は、風景を情緒ではなく造形的に捉えることによって、その風景に潜む気配を浮かび上がらせるシリーズに取り組む。また、その撮影フィールドは海外にも向けられ、風景だけでなくそこに暮らす人々にも意識が拡張している。
日本写真家協会会員、日本風景写真家協会会員、日本風景写真協会指導会員、Mind Shift GEARアンバサダー

ウェブサイト: www.toshikinakanishi.com
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