中西敏貴 (自由雲台)


テーマ
自然の光、造形
撮影者
風景写真家・中西敏貴
撮影日付
2017年6-8月
撮影場所
北海道
撮影機材
マーキンス
Q10iQ-RD 自由雲台
PC-542 + LC-542 L-プレート セット
PC-14 レンズプレート
キヤノン
EOS 5D Mark Ⅳ
EF16-35mm F4L IS USM
EF24-105mm F4L IS II USM
EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
ベルボン
N730
レビュー
風景写真家・中西敏貴
中西敏貴 (なかにし としき)
1971年大阪生まれ。独学で写真を学びながら1990年頃より北海道へ通い続け、2012年、撮影拠点である美瑛町に移住。光を強く意識した風景作品に取り組む一方、自然の中に造形的な美を見出す表現にも挑戦している。
日本風景写真協会指導会員
- 写真展 -
2010年
個展「光の彩」(NADAR/OSAKA)
2012年
個展「光の彩」(キヤノンギャラリー銀座・梅田)
2013年
個展「HIKARINOIRO+」(東川町文化ギャラリー)
2016年
個展「ORDINARY」(リコーイメージングスクエア新宿ほか)
2016年
個展「unforgettable」(大阪calmspace)
ほかグループ展多数
- 出版 -
2012年
「光の彩」(青青社)
2014年
「Power of Light」(桜花出版)
2015年
「美瑛 光の旅」(青青社)
2016年
「ORDINARY」(風景写真出版)
ウェブサイト: http://toshikinakanishi.com/
私の撮影スタイル
毎朝、日の出前に起きて1日に300km近くの距離を移動しつつ撮影する日々。私の撮影スタイルは、生活そのものと言ってよく、まさに息をするように写真を撮っている。風景写真家の撮影スタイルといえば、三脚をカメラに据えて何時間でも待つ、という印象を持たれることが多い。実際にそのように撮影している写真家もいるだろうが、私は違う。現場に到着して1枚目のシャッターを切るまでに約10秒。同じ場所での滞在時間は5分から10分前後だ。

自然の時間はゆっくりと流れているようで、光は刻一刻と変化していく。私はその光の一瞬の表情を捉えたいといつも考えているので、イメージした条件に出会えそうな場所をあらかじめ想定し、その光に出会った瞬間にシャッターを切りたい。それが10秒以内に1枚目を撮るということに繋がるのだが、そのためには全ての道具の使い勝手が洗練されていなければ実現できない。カメラの使い勝手はもちろんのこと、ブラさず安定した構図で捉えるための三脚と雲台もしかりだ。

そんな私もかつては3ウェイ雲台を使用していた。じっくりと構えて撮るというスタイルだったころの話なのだが、安定して撮れる反面、読んで字のごとく三段階の操作を余儀なくされていたので、もどかしさを感じていたのは事実だった。ある時、自由雲台ならばそのもどかしさから解放されるのではないかと考え、とあるメーカーの自由雲台を使うようになった。案の定、自由雲台は私のスタイルとフィットした。三脚を使っているにもかかわらず、とても軽快で、構図がピタリと決まる。ノブ操作ひとつで自由に角度を変えられる軽快さは、3ウェイ雲台では得難いメリットに感じた。

そこまで軽快さにこだわるのならば三脚を使わなければいい、という声もあるだろう。しかし、三脚を使うメリットはブレ防止だけではない。構図が安定し、精度も上がる。画面の隅々にまで神経が行き届いた作品が撮れると信じている。また、左手が自由になることでハレ切りができたり傘をさせたりと、手持ちにはないメリットがあるのも事実だ。だから私はほとんどのシーンで三脚を使う。そして使いながらも、素早さを求めたいのだ。

そんな私が、マーキンスを使う機会を得た。道具に対して貪欲な私はマーキンスの自由雲台に興味があり、早速使ってみることにした。導入したのは「Q10iQ-RDレバーシュー中判用 自由雲台」とキヤノン EOS 5D Mark Ⅳ 専用L-プレート「PC-542 + LC-542」、キヤノン 100-400㎜ 専用レンズプレート「PC-14」だ。 雲台の色は迷わず赤を選んだ。まずはその色に一目惚れ。黒一色になりがちな撮影機材の中でも、この赤は個性があっていい。ちょっとしたことだが、毎日の撮影で気分が上がる「赤」は素敵だ。
EOS 5D Mark Ⅳ 専用 L-プレート 「PC-542 + LC-542
EF 100-400mm f/4.5-5.6L IS II USM 専用 レンズプレート 「PC-14
撮影のリズム感
さて本題に入ろう。マーキンスの自由雲台でまず驚いたのはその固定力だ。キヤノン EOS 5D Mark IVに望遠ズームレンズを装着した状態ですら微動だにしない。ほんの少しボール固定ノブを回転させるだけで、たとえカメラが斜めを向いていても垂れたりする心配はない。これはボール部の加工精度が非常に優れているからだと思うのだが、感覚的にいえば、手首を少し手前に曲げる程度のノブの回転で、カメラがピタッと止まってくれる。これはとても重要なことで、フレーミングが決まって雲台の動きを止めたいところで正確に止められる自由雲台は、実はそうあるものではないのだ。しかもボール固定ノブを少し戻せば、カメラがそのまま止まっている状態から構図の変更ができる。このフィーリングは、スペックを見てわかるものではないので、使ってみて「ああ、いいな」と思えることが大切だ。

そして、アルカスイス互換のクイックシューも至極便利だ。10秒以内に1枚目を撮影するという、自分に課したノルマを達成できるどころか、「5秒以内」も可能になるのではないかと期待している。三脚を立て、カメラを雲台に乗せてレバーを倒すだけ。これでカメラがしっかりと固定される。私の場合、時間にして1~2秒だ。

また、L-プレートを使用することで、光軸を変えることなく縦横の構図を瞬時にチェンジできる軽快さも、一度使うとやめられない快感だ。そのL-プレートもしっかりカメラとマッチングしているのでそれほど出しゃばらず、仮に手持ち撮影に切り替えたとしても、取り外す必要性は感じないだろう。ゆえに、所有しているカメラ・レンズごとにプレートを装着しておくと、撮影のテンポが削がれることなく軽快に撮影できると思う。
L-プレートによる縦位置
正位置から瞬時に変更可能
ボールを傾けての縦位置
光軸が変わり重心が片寄る
撮影のリズム感は作品に反映される。テンポよく、的確な構図で撮影した作品からはリズムが感じられ、結果的に心に響くのではないかと思う。もちろん、じっくり撮った写真が響かないというわけではないが、私の場合、一瞬の光を永遠の作品とし昇華したいので、リズム感を重要視しているのだ。そのためには、自由雲台はマストアイテムだ。さらに言えば、「止まる」自由雲台でなければ意味がない。できるだけ少ないアクションで正確にフレーミングできる自由雲台。マーキンスの自由雲台は、その要求を十二分に満たしてくれる。
牧草ロールと夏雲

≪撮影データ≫
キヤノン EOS 5D Mark IV、EF24-105mm F4L IS II USM
絞り優先AE (F11・1/50秒) ISO200
中西敏貴 作例
麦畑に差し込む朝日

≪撮影データ≫
キヤノン EOS 5D Mark IV、EF24-105mm F4L IS II USM
絞り優先AE (F11・1/50秒) -0.7EV ISO100
萩原史郎 作例
黄金色に輝く麦の丘

≪撮影データ≫
キヤノン EOS 5D Mark IV、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
絞り優先AE (F11・1/50秒) ISO100
中西敏貴 作例
青の印象

≪撮影データ≫
キヤノン EOS 5D Mark IV、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
絞り優先AE (F16・1/1.3秒) ISO100
中西敏貴 作例